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駱駝・獅子・幼子

  • yuhinohikari
  • 2016年8月30日
  • 読了時間: 2分

哲学者のニーチェは『ツァラトゥストラはこう語った』の中で、

駱駝(らくだ)・獅子・幼子という、精神の成長の3段階について語っています。

最初の「駱駝」は、重荷を背負って砂漠の中をただ黙々と歩むだけ――

おとなしく服従し、与えられた責務を果たす、自由のない段階です。 この駱駝が、今までずっと自分を抑圧してきたことに気づくと、

他人の要求に対して「NO」と言う勇気のある「獅子」になります。

獅子は、押し付けられた価値観と闘い、自分自身でいようとする段階です。

そして、さらに深い目覚めが起こると、

獅子は、まったく無垢で自発的な「幼子」になります。

世界と自分自身が根本的に和解し、すべてに「YES」と言える段階です。

今、僕の半生を振り返ってみると、

まさにこの3段階の変化が我が身にも起こったと感じます。

ですが、僕は、高2の頃、自分の内に吼えている獅子を自覚して以来、

それこそが本来の自分だと思い、約35年もの間、固執してきました。

それは、両親から、無能感や存在不安を絶えず刷り込まれたことで、

臆病な駱駝として生きることに酷く苦しんだからです。

そのため、駱駝とは正反対の獅子の在り方こそが

心底求めているものだと強く感じ、自己同一視するようになったのです。

そして、丸山健二・戸井十月・泉谷しげる・忌野清志郎といった

数少ない獅子的な精神を持つ作家やアーティストに出会うと、

同類として特別視してもいました。

それに、親との共依存関係は、一方的に断ち切ったつもりでいましたが、

長い夢から覚めるまでは、呪縛から完全には解放されていませんでした。

そのため、無意識のうちに、対抗手段として

獅子的な在り方を貫くことをイデオロギー化してしまい、

それに囚われていたんだと思います。

そんな訳で、なかなか無垢な幼子になることができなかったのです。

 
 
 

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