螺旋階段を昇るように
2年前の今時分、TVドラマの『GTO』が急に懐かしくなり、
YouTubeで全12話を珍しく一気にまとめて見ました。
年始の読書会から赤字となり、夫婦の溝も一層深まって、
名実ともに「大寒」を迎えた頃のことです。
ヒロイン役を演じた松嶋菜々子は、
この作品で人気を博し大ブレイクしましたが、
僕もその当時ファンになった一人でした。
長身ですらっとした手足、笑うと三日月目になる癒し系の顔付き、
時折見せる女っぽい仕草などが、まさに僕の好みだったのです。
彼女が『GTO』の終盤や『やまとなでしこ』でCAを演じたのも、
JAL時代の妻のイメージと少し重なり、親近感を覚えました。
妻は、顔立ちは面長ですが、身長は約170cmで彼女とほぼ同じ――
娘も同級生から「お母さん『生茶』のお姉さんに似てるね」と
よく言われていたので、醸し出す雰囲気に通じるところがあるのでしょう。
今、振り返ってみると、一昨年の僕は『GTO』を見ながら、
若い頃の妻の面影をヒロインの冬月あずさにダブらせていたように思います。
まだ長い夢の中にいたので、そうしている自覚はありませんでしたが、
心の底のどこかでは、元の関係に戻りたいと渇望していたからです。
もしそうでなければ、
妻との関係性に大きなシフトが起こることはなかったし、
再び出会い直すこともなかったでしょう。
けれど僕たちは、単に元の関係に戻ったのではありません。
さながら螺旋階段を昇るように新たな段階へ進み、
フィーリングより精妙な何かを体験できるようになったのです。
去年の2月初め、神戸&大阪へ遊びに行った時、ハーバー沿いのトニーローマで食べたBBQリブ。
LAでのユニバーサルスタジオとトニーローマの組み合わせが、酷く懐かしいと言うので、
妻のそんな希望を叶えられる関西へ、1年後の「大寒」の期間に出向いたのでした。