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焦点を切り替える


人の心は、何らかの刺激に対して、 思考や感情という形で反応するようにできています。 そして、その反応は、自分の過去の経験や、 社会から刷り込まれた観念などによって条件づけられています。 つまり、ある刺激に対してどう反応するか、 あらかじめ決まったパターンができており、 そのパターンに沿った思考や感情が生じるのです。 そして人は、そうした思考や感情と自分自身を同一化しています。

しかし、 あなたの “心の本性” である純粋な意識は、 条件づけられた反応を超えた存在です。 あなたは、心の反応にばかり気を取られているため、

土台の意識を自覚できなくなっているのです。 それは、「ダブルイメージ」とも呼ばれる、 隠し絵を見ているようなものです。

この絵は、一見すると、若い女性が描かれているようにしか見えませんが、

同じ絵の中に老女の顔も隠れています。 しかし、あなたに若い女性が見えている時は、老女は見えず、

逆に、老女が見えている時は、若い女性が見えません。 両方が描かれているのに、片方を見ると、もう片方は見えなくなります。 これは、一方に焦点が合うと、もう一方が見えなくなるように描かれた絵なのです。 たとえ両方が描かれていると気づいても、

一方からもう一方に焦点を切り替えるのは、少し難しいでしょう。 なぜなら、一方を見ていると、焦点が定まってしまうからです。 同じことが、あなたに生じる反応と “心の本性” についても言えます。 次々と起こる反応と反応の隙間には、 “心の本性” が常に覗いているのですが、

あなたの焦点が、反応の方に定まっているため、それに気づけずにいます。 もうひとつ、喩えを挙げてみましょう。 あなたの前に、大きなホワイトボードが置かれているとします。 そして、そこに誰かが黒のマーカーで小さな丸を描いてから、

「何が見えますか?」と尋ねるとします。 すると、ホワイトボードをまったく気に留めずに、

「丸が見えます」とだけ応えるでしょう。 人の心は、 “形” に焦点を合わせて、“背景” を見ないからです。 雲に焦点を合わせて、空を見ません。 反応に焦点を合わせて、純粋な意識に気づきません。

この焦点を、あえて切り替えてみるのです。 来ては去ってゆく反応にではなく、 常に留まっている、土台の意識に注意を向けてみるのです。 決して来ることも去ることもないものの方に、焦点を合わせてみましょう。

もっと、反応と反応の隙間に注意を向けてみてください。 あなたの心は、昔からの癖で、すぐ思考や感情の雲に焦点を合わせるでしょう。 でも、そうしていることに気づいたら、焦点を切り替えればいいのです。 雲から空へと、注意を移すのです。 これを何度もトライし続ければ、

あなたを悩ませてきた反応からの根本的な解放が起こってきます。

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